住宅周りの除雪は個人の時間を無駄にする

窓から見える雪

冬に雪が降るたびに近所の人たちが朝から忙しく雪かきを始める。

自分の住んでいる地域は降雪はまあまああるが雪国ってほどでもなく降った雪は数日で溶けるし春まで地面が見えないなんてことはない。

まめに雪かきが出来る人たち

控えめに言っても、我が家の近所の人たちは皆真面目に雪かきをする人ばかりで家の玄関口や駐車スペースばかりでなく、家の前に面してる道路まで雪かきをする。

おかげで近所では車がスリップして動けないことはなく、少しの圧雪や凍結が残るものの、それほど雪で不便を感じることがない。

この辺の地区は、当初何社かの住宅メーカーが分譲地として一気に売り出した場所で私も含め住んでいる人たちが入居した時期が集中していて世代の開きが少ない。

毎年、雪が降ればどの家も誰かが外に出てきて雪かきを始める。

見た目にすぐ溶けそうな数センチ程度の雪ならさすがに誰もやらなかったりするが、ブーツや長靴が必要なほど積もるとなると例外なく雪かきが行われる。

いつしか、我が家の周り数件先ほどまでは「まとまった雪→道路も含めた住宅の除雪」という慣習が根付いていた。

私が思うにマメに雪かきが出来る人は、家の中も綺麗に整っていて規則正しい健康な生活習慣も身についている人なのでしょう。

そして、自分の家のご近所さんは皆そうした素敵な人たちばかりです。

雪が多い年には頻繁に行われるようになるこの住宅周りの除雪作業。

積雪の量が生活に支障を来すほどであれば、その都度除雪が必要なのは確かだが中には自宅の敷地に面する路面のアスファルトが露出するまで頑張ってしまう人もいる。

気になるのが、ほとんどのご近所さんが「降ってしまったけど今朝は疲れが残っていて眠いから家の周りの雪かきはやらないでおこう」などと判断することがない様子。

程度にもよるが、子供が風邪で熱を出した、或いは昨晩は急用で夫婦ともに帰宅が遅かったので、今朝は玄関先の雪ぐらいそのままにしておこう。という判断にはならないらしい。

ご近所さんたちにとって、雪かきはまるで洗顔や歯磨きと同順位かのように習慣的にこなされている。

当然まわりの家で道路(幅約6メートル)を含めて雪かきをしていれば、自分もやらないと申し訳ないような気持ちにはなるが、今となっては気持ちの問題より、暗黙のうち除雪に対する価値観が共有されてしまったかのようです。

やがて必ず溶ける雪なのに

雪が積もったら車が通りにくいし、何より自分の家の車も出入りしにくいからさっさと片づけちゃいましょう。的な感覚が共通意識になっていると思われます。

こと私はというと、通勤以外でプライベートで雪が降っている日に車を使って出かけようと思うことがあまりありません。

家の周りも、多少雪が残っていても歩ければ問題ないし車庫入れに支障がなければ積雪が残っていようがかまわないと思う。

むしろ、雪かきに集中するより味噌汁用にネギを刻む時間が欲しいし、たまにはひげ剃りの後にローションみたいなもの付ける余裕が欲しいし出かける前に落ち着いてコーヒーなんて飲んでみたい。そもそも味噌汁は飲まない日の方が多い。

何よりプライベートではバスや電車を使いたくて車は退屈な乗り物だと思う。

北国や豪雪地帯なら事情は異なると思いますが、降った雪が10日先に残ることは殆どない地域に住んでいる。

私自身がどうかは微妙だが、分譲地に一戸建てを建てるほどの収入がある人たちなので勤勉なといったら失礼か、社会的にはそれなりの地位にある人たちばかりだが、ご近所さん達にとって雪かきは日常的にクリアされるタスクの内に留まるものなのかも知れない。

でなければ、爽やかに朝の挨拶をしながら黙々と雪を片づける作業を続けることはないだろう。

そして、私にはどうも雪かきが通常のタスクとして扱われるものとは判断できない。

数年に一度のドカ雪を除いては、降った雪はしばらく経てば溶けてしまうものです。

年間に降る雪の内のほとんどが、我慢すれば消えてしまう痛みのようなもの。

放っておくのがだらしないのとも違う。相手にしていたら無駄なものを処理しているのです。

やがて消えてなくなるのですから。

そんなわけで、私のする雪かきは完全にご近所さんと共有される価値観に隔たりを作らない努力のための雪かきです。

そして、他の方々とは違ってときどき手抜きをし、寒くて眠くて辛いときは雪かきなんてやりません。

きっと、この先もずっと。