クリエのTH55は縦型のモデルでは最終型として後期に発売されたモデルでした。
[no_toc]本体正面の液晶の表示域が広げられ画面の見やすさと操作性に斬新な改良がなされたモデルです。
背面ジョグダイヤルを備えて登場したTH55
PEG-TH55の特徴と言えば、本体背面にジョグダイヤルを装備したことと手書き機能が追加されたことなどがあります。
歴代のClieと比較しても縦型の最終モデルというだけあってか、他とはひと味違ったケースデザインでSONYの意気込みを感じます。
ハードウェアボタンは、正面の際まで追い込みその分画面を縦長に大きくしています。
左側面には電源ボタン、録音用のRECボタンシャッターボタンやシャッターカバーのスライドスイッチなどが集中して並んでいます。
クリエをはじめPDAの多くがそうですが、にぎやかな左側面に対して右側にはスタイラスペンが収納されているくらいです。
これはPDAの使い方として左手で本体を握り右手にスタイラスペンを持つという使い方で、側面のハードウェアボタンは左手の親指を想定しているということのようです。
縦型CLIE最終モデルの本体仕様
TH55の主なスペックは以下の通りで、UX50などと同じく独自のCPUを搭載しているところが特徴といえるでしょう。
- OS:日本語版PalmOS5.2.1
- CPU:ソニーHandheldEngine 123MHz
- 大きさ:タテ121.5(mm)×ヨコ73.3(mm)×厚さ15.7(mm)
- 重量:185(g)
- メモリー:32MB(RAM)/32MB(ROM)
- 電源:リチウムイオンポリマー充電地
さすが縦型最終モデルだけあって本体の仕様はPalmデバイスとしては快適な構成になっています。
最新型だからといって薄さを追求することはなく電子的な性能に拘ったことが伺えます。
PEG-TH55には、液晶画面を保護するための半透明カバーがあります。
クリエのモデルでも特に中盤以降の本体がストレートタイプのモデルにはカバーが標準で付くようになっているようです。
折り畳み式だと液晶を内側に折り畳んでしまえば画面を保護できますが、ストレートタイプだと傷が付きやすいという理由からでしょう。
よりモダン化されたPalmデバイスの使用感
本体のフォルムはSONYがPalmデバイスの完成形として打ち出した物だけあって格好良く言うことはありません。
マッドブラックに装飾されたケースの質感は、手になじむものですが好みによるかもしれません。
T400、T600などのように冬場のヒンヤリ感をあまり感じない点は評価したいところです。
また、TH55の標準の文字入力の方法は今までのPalmデバイスに用いられていたGraffitiと違うため、Palmデバイスを使い込んでいる人にとっては違和感を感じることがあったかもしれません。
キーボード付属のモデルであればキーボードを使えば良いだけですが、今さら「日本語文字を直接書き込んでもいいよ」と言われてもスタイラスを持った手はGraffitiの動作をしてしまいます。
クリエの開発者が目指していたのは、ビジネス用の機器ではなくPC環境をハンドヘルドに納めた総合的なデバイスなのでしょう。
しかし、こうした小型デバイスに求められた物がそうであったかどうかは微妙なところです。
個人的な意見としては、モノクロで動作速度やメモリ容量をアップさせたモデルを継続して出して欲しかったと思っています。
T400でバッテリー性能を強化させ、Wifi、Bluetoothを搭載させてもらえば簡単なWebアクセスとメールチェックが容易になります。
キーボードの搭載もTG50程度のもので充分だと感じます。
ビジネス路線に特化したロングセラーモデルを現代に渡って売り込むことは、日本の企業の商業戦略には見合わない物なのでしょう。
オーソドックスな10桁、12桁の電卓などは需要が衰退することがないのに、スマホの市場拡大が押し迫る中でPDAは無理に進化し続けなければならない情報機器だったようです。